IRC 横浜国立大学 学際プロジェクト研究センター / Yokohama National University, Interdisciplinary Research Center

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 稲垣 怜史 Satoshi INAGAKI

   職名:特任教員(助教)平成24年度から工学研究院准教授
   専門:触媒化学、反応工学、ゼオライト
   連絡先:045-339-3941   Email:
   居室:物質工学科化学棟403

■研究テーマと概要■

 「ゼオライト」は結晶構造に由来する、分子サイズのミクロ孔をもつことから、分子ふるい
 として知られる機能性材料の一つです。またその骨格に様々な金属を含有したゼオライト
 の調製も可能であり,得られたゼオライトはいろいろな化学反応の触媒として作用します。
 例えばアルミニウムを骨格に含むゼオライトは固体酸性質を発現するため、パラフィンの
 クラッキングや異性化、トルエンの不均化などの酸触媒反応に利用されています。また、
 チタンを骨格にもつゼオライト(チタノシリケート)は過酸化水素を酸化剤としたアルケン
 や芳香族の部分酸化に高い活性を示す触媒となります。さらにゼオライトのミクロ孔は、
 特定の大きさの分子を選択的に生成する反応場として有効に利用することができます。
 このように触媒として高い機能性をもつゼオライトに注目して、研究を進めています。


(1) ゼオライトの結晶化メカニズムの解明

ゼオライトの結晶構造は非常に多様であり,2008年4月現在,179種類の構造がInternational Zeolite Association(IZA)により認定されています。 しかし新しいゼオライト構造を得るには"try and error"の繰り返し行われているのが現状であり,ゼオライトを自在に"design"するにはその結晶化メカニズムの解明が望まれています。
ゼオライトベータの結晶化には、構造規定剤(structure-directing agnet)としてテトラエチルアンモニウム(TEA+)塩を合成原料に加える必要があります。 これまでの研究で、ゼオライトベータの原料となる、TEA+を含むアルミノシリケートの乾燥ゲル中に、TEA+により安定化された二重3員環のシリケートユニットが多く含まれていることを見出しており、 このシリケートユニットが規則的に配列して重縮合することでゼオライトベータの結晶構造となると考えています。
このように微小なシリケートユニットの形成とゼオライトの結晶構造の相関から,ゼオライトの結晶化メカニズムの理解につなげる研究を進めています。

テキストでの説明

図1.ゼオライトベータの骨格構造モデル

(2) ゼオライト触媒によるグリーンケミカルプロセスの実現を目指した触媒反応の開発

骨格にヘテロ金属を含むゼオライトは固体酸性質のみならず,様々な化学反応の触媒作用を示す可能性があります。 最近、スズを骨格に含むゼオライトを触媒として、過酸化水素を酸化剤としてシクロヘキサノンからε−カプロラクトンへの 選択酸化(Baeyer-Villiger酸化)が起こることが報告されました。 この反応に注目して研究を進めたところ,アルミニウムやガリウムを骨格に含むゼオライトでもこの反応が進行することを見出しました。 これらの知見を踏まえて現在,様々なヘテロ金属を骨格に導入したゼオライトの調製を行い、 得られたゼオライトを触媒として過酸化水素酸化に基づく各種化学反応への応用を目指して研究を進めています。

テキストでの説明

図2. ゼオライトベータを触媒としたBaeyer-Villiger酸化

■主な公表論文■

  1. S. Inagaki, T. Tatsumi, "Vapor-phase silylation for the construction of monomeric silica puncheons in the interlayer micropores of Al-MWW layered precursor", Chem. Commun. (2009) DOI: 10.1039/b823524d
  2. Y. Kubota, Y. Koyama, T. Yamada, S. Inagaki, T. Tatsumi, “Synthesis and catalytic performance of Ti-MCM-68 for effective oxidation reactions”, Chem. Commun. (2008) 6224-6226.
  3. S. Inagaki et al., "Unique adsorption properties of organicinorganic hybrid zeolite IEZ-1 with dimethylsilylene moieties ", Chem. Commun. (2007) 5188-5190.
  4. S. Inagaki et al., "Elucidation of medium-range structure in a dry gel forming *BEA-type zeolite", J. Phys. Chem. C 111 (2007) 10285-10293. 
  5. S. Inagaki et al., "Changes of intermediate-range structure in the course of crystallization of zeolite beta", Microporous Mesoporous Mater. 101 (2007) 50-56.
  6. S. Inagaki et al., "Shape selectivity of MWW-type aluminosilicate zeolites in the alkylation of toluene with methanol”, Applied Catalysis A: General 318 (2007) 22-27.