IRC 横浜国立大学 学際プロジェクト研究センター / Yokohama National University, Interdisciplinary Research Center

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pic:Katayama

 片山 郁文 Ikufumi Katayama

   職名:特任教員(助教)平成24年1月から工学研究院准教授
   専門:光物性、超高速分光、テラヘルツ分光
   連絡先:045-339-3695   Email:
   居室:総合研究棟W509

■研究テーマと概要■

 近年、超短パルスレーザーの発展により、テラヘルツ(10^12Hz)の電磁波を高感度に検出する手法が確立されてきました。この領域は、光を用いた光学の領域と、マイクロ波などを用いたエレクトロニクスの領域のちょうど狭間に位置し、これまでに研究が難しかった領域です。しかしながらテラヘルツ領域には相転移などを特徴付ける様々な素励起(超伝導ギャップ、強誘電ソフトモード、マグノンなど)が存在しており、相転移の物理を研究するうえで大変重要です。そこで私たちは、?@新しいテラヘルツ時間領域分光法の開発、および、?Aそれを用いた光誘起相転移の研究を通して、さまざまな相転移や、光反応のメカニズムを解明したいと考えています。


(1) 新規テラヘルツ時間領域分光法の開発及び広帯域化

 超短パルスレーザーを用いたテラヘルツ分光法は通常パルス幅100fs(10^-13s)程度のレーザーが用いられていて、3THz以上高周波の観測は難しいという風に考えられていました。しかし、高温超伝導体などの超伝導ギャップなど興味深い素励起はより高周波に位置しており、これらを観測するためにはより高帯域の測定を可能にすることが望まれます。そこで私たちは、より短いパルス幅のレーザー(パルス幅6fs)を用いてテラヘルツ波の発生・検出を行い、高周波が検出できないかを研究しました。図1がその結果です。今後はこの手法をより高感度、より高分解能にし、さまざまな物質の分光へと応用していきます。

広帯域テラヘルツ測定結果

図1.6fsレーザーを用いて観測したテラヘルツ電磁波の時間波形とそのウェーブレット変換。横軸が時間であり、上図の縦軸は電場強度、下図の縦軸が観測されている電磁波の周波数である。1000fs近傍で、100THz〜170THzのパルスが観測されている。

(2) 光誘起相転移現象のテラヘルツ分光

光誘起相転移は励起状態間の協力的な相互作用により、光照射することで物質のマクロな性質が変化して、基底状態とは全く異なる新しい相が誘起される現象です。この現象は光スイッチングや光メモリーへの応用が期待されるばかりでなく、非平衡、非線形な新しいタイプの相転移であることからそのメカニズムに大きな注目が集まっています。そこで、本研究ではテラヘルツ領域に相転移を特徴づける素励起が見られることが多いことから、この光誘起相転移をテラヘルツ領域でプローブすることによって、そのメカニズムを研究していきたいと考えています。図2は誘電体の一つであるSrTiO3薄膜の誘電率測定結果で、光誘起相転移ではありませんが、相転移を特徴づける素励起の一つである強誘電ソフトモードがテラヘルツ分光によって感度良く観測できることを示しています。

SrTiO3薄膜の誘電率測定結果

図2. SrTiO3薄膜における誘電率の温度変化。色塗りの丸が誘電率の実部であり、白抜きの丸が虚部である。虚部のピークが温度低下に伴ってソフト化するソフトモードに対応している。

■主な公表論文■

  1. I. Katayama, H. Shimosato, M. Ashida, I. Kawayama, M. Tonouchi and T. Itoh, "Thickness dependence of the soft ferroelectric mode in SrTiO3 thin films deposited on MgO", Journal of Luminescence, Vol.128, p998, 2008 
  2. M. Ashida, R. Akai, H. Shimosato, I. Katayama, T. Itoh, K. Miyamoto and H. Ito, "Ultrabroadband THz field detection beyond 170THz with a photoconductive antenna" CLEO-QELS2008 Technical Digest, CTuX6, 2008