IRC 横浜国立大学 学際プロジェクト研究センター / Yokohama National University, Interdisciplinary Research Center

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 山梨 裕希 Yuki YAMANASHI

   職名:特任教員(助教)平成24年度から工学研究院准教授
   専門:超伝導エレクトロニクス、新機能デバイス
   連絡先:045-339-3694   Email:
   居室:生物電子情報棟303号室

■研究テーマと概要■

 既存のものとは異なる材料、デバイスを用いた情報処理技術の研究を行っています。現在は主に超伝導デバイスの情報処理応用に関する研究を行っています。超伝導デバイスは短い応答時間、超低消費電力性、磁場や電流に対する極めて高い感度、巨視的な量子効果が利用可能である、といったエレクトロニクスの観点から魅力的な特徴を持っています。これらの特徴を利用した、従来にはない優れた情報処理技術の確立を目指しています。


(1) 超伝導単一磁束量子ディジタル回路の研究

 超伝導リング中の磁束の最小単位となる磁束量子を情報の担体として用い、リング中の磁束量子の伝搬を制御することによって回路動作を行う超伝導単一磁束量子回路は、極めて低い消費電力において高速動作を行うことが可能です。単一磁束量子回路を用いたさまざまなディジタル回路に関する研究を行っています。

 高速にデータの行き先を切り替えることができるスイッチ回路や、超高速にデータを読み出すことができるメモリシステムの研究などを行っています。



図1.単一磁束量子回路の構造。ジョセフソン接合(JJ)を挟んだ超伝導リングが接続された構造をしている。

(2) 超高速物理乱数発生回路の研究

 乱数はさまざまなシミュレーションや暗号技術をはじめとするセキュリティ応用などに用いられます。シミュレーションなどにおいては計算によって求められる疑似乱数がよく用いられますが、乱数列に周期性が現われてしまうことや、計算に時間がかかることなどから、高速に真性乱数を発生する回路が求められています。

 超伝導回路中の雑音を積極的に利用した超高速真性乱数発生回路を提案し、研究を進めています。提案する乱数発生回路は、数十ギガヘルツの速度で真性乱数を発生することができます。回路の中心部分はわずか2個のJosephson接合によって構成され、回路を並列化することによって乱数の発生速度を容易に向上できます。

 このような小規模回路応用では少ない素子数で応用が可能であることから、大規模回路応用では歩留まりが問題になっている酸化物高温超伝導体による回路を用いることもできます。この場合は熱雑音を積極的に用いる動作原理からも冷却コストが小さく抑えられるとともに、さらなる高速動作が期待できます。



(3) 超伝導回路を用いた量子セルオートマトン
状態を保持できる基本単位(セルと呼ばれる)をある規則に基づいて配置し、セル間の相互作用を用いて情報の処理を行う、「セルオートマトン」と言うコンピュータがあります。セルオートマトンは、通常のディジタル回路とは異なる配線を用いないコンピュータを構成することができ、ある種のシミュレーションや画像処理に絶大な威力を発揮すると考えられています。しかしハードウェアで大規模なセルオートマトンを実現するのは、極限の微細加工技術を要するために困難だと考えられています。

 超伝導回路を用いると、比較的容易に量子セルオートマトンが実現できるのではないかと考え、研究を進めています。基本セルの動作検証から、超伝導回路特有の磁束輸送回路を用いたセル間の接続法など、幅広い研究を行っています。

■主な公表論文■

  1. Y. Yamanashi, M. Ito, A. Tagami, N. Yoshikawa, "Observation of Quantized Energy Levels in a Josephson Junction Using SFQ Circuits," IEEE Trans. Appl. Supercond., Vol. 15, pp. 864-867, 2005. 
  2. Y. Yamanashi, A. Akimoto, N. Yoshikawa, M. Tanaka, T. Kawamoto, Y. Kamiya, A. Fujimaki, "A New Design Approach for Control Circuits of a Pipelined Single-Flux-Quantum Microprocessor," Supercond. Sci. Technol., Vol. 19, pp. S340-S343, 2006.
  3. Y. Yamanashi, T. Nishigai, N. Yoshikawa, "Study of LR-Loading Technique for Low-Power Single Flux Quantum Circuits," IEEE Trans. Appl. Supercond., Vol. 17, pp. 150-153, 2007..
  4. Y. Yamanashi, M. Tanaka, A. Akimoto, H. Park, Y. Kamiya, N. Irie, N. Yoshikawa, A. Fujimaki, H. Terai, Y. Hashimoto, "Design and Implementation of a Pipelined Bit-Serial SFQ Microprocessor, CORE1b" IEEE Trans. Appl. Supercond., Vol. 17, pp. 474-477, 2007.